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【活動報告】弊社代表の西山、取締役の井上が「愛媛県立医療技術大学助産学専攻科」で講義を担当しました

2025年6月24日(火)弊社代表・西山と取締役・井上が、愛媛県立医療技術大学助産学専攻科にて実施された「統合ヘルスケア」の授業の一環として、「産褥期に役立つフィジカルアプローチ」をテーマに講義を担当させていただきました。
本講義は助産学生を対象に、以下の3つの学習目標を掲げて構成しました。
1. 産前・産後の時期に運動を取り入れる必要性を理解する
2.産褥期の身体に影響を与える要因について理解する
3.産後早期の運動介入方法を知る
これらの目標を達成するために、講義は座学と実技を組み合わせた構成としました。

講義構成に込めた意図や想い
講義内容のご紹介
maemo atomo 代表 西山 夏実
1・2のパートでは主に座学を通じて理解を深めていただきました。学生の皆さんはすでに妊娠期・分娩期・産褥期に関する基礎的な座学を終えている段階でしたので、これまでの学びと本講義の内容が自然に結びつくよう意識しました。たとえば、分娩の機能として学んだ骨盤底筋群が、産後の身体症状にどのように関与するか、また、赤ちゃんが飲みやすい授乳姿勢が母体の身体にどのような影響を与えるかなど、これまでの知識を活かしながら、産前産後の運動や身体の変化について体系的に理解できるよう工夫しました。

実技パートのご紹介
maemo atomo 取締役 井上麻里子
3のパートでは産後1ヶ月以降の女性を対象に産後リカバリーを目的に実施しているクラスを学生の皆さんに体感いただくことで学びを深めていただきました。講義で扱った理論と、実際の運動内容とのつながりを意識しながら、学生さんの理解を促す声掛けを丁寧に行いました。これから始まる病院実習に向けて、保健指導として適切な助言ができるよう、「なぜこの動きが必要なのか」「日常生活の中でどのように取り入れられるか」といった視点を交えながら、運動を実施しました。そして参加者が「楽しさ」や「達成感」を感じられるよう、動機づけや寄り添いの姿勢、そして声掛けの工夫を大切にしました。

講義を終えていただいたご感想
① 産後の運動の必要性や解剖学的知識について
・妊娠や出産によって、姿勢が変わったり筋肉に影響が与えられたり、様々な要因に対して、どうしたら不調が解消されるか、また不調を予防できるかが大切で、母親の安全、安楽を考えアプローチできるようになりたいと考えた。
・解剖学の知識と母体の変化をひもづけて理解することは分かりやすいし、やる気につながると思った。
・助産師として、少しでも生活の中に取り入れることで母子の健康を守る事ができるような関わりをしていきたいと感じた。そのためには、大きな運動を提案するのではなく、その人の生活にあった方法や、生活の中で意識するだけで変わるものなどの個別性が重要であると学んだ。
② 産後の不調予防について
・授乳姿勢や抱っこの姿勢において、一つ身体の使い方がおかしいとドミノ倒しのように他の場所も使い方がおかしくなってしまうようだった。
・運動は産後の母親が無理なく育児を行い、体を回復させていくための大切な要素だと改めて実感しました。今後は、産後の女性に対してはただ休むだけでなく、少しずつ体を動かしていくことの重要性を伝えていきたいと感じた。
・これから実習に行くため、排便時の骨盤底筋への負担が軽減する姿勢など、自分が伝えられるところはしっかり伝えていきたいと考えた。
・講義の中では、私たちが普段何気なく行っている動作に置き換えて説明していただいたことで、より理解が深まり、実践にもつなげやすかったです。「あ、これならできるかも」と前向きな気持ちで取り組むことができた。

③実際に運動を体感してみて
・激しい動きはしていないにも関わらず、体の芯からぽかぽかと温まり、冷えの予防や血流促進に効果的だと感じた。
・実際に体を動かしてみると、自分でも気づかなかった左右差に気付きました。そして、徐々に呼吸がしやすくなるのを感じた。
・ピラティスでは普段使っていない筋肉を使ったようで、身体のあちこちが痛かった。走ったり飛んだりというような激しい運動はしていないのに、身体が温まるような運動をすることはあまりなかったので不思議だった。
・これまで「産後の回復」と漠然と捉えていたものがより明確になった。また、そのダメージをさらに悪化させないためにどのような運動が効果的なのか、逆に避けた方がいい動きは何かといった実践的な知識も得ることができ、産後の女性に寄り添ううえで大切な視点が増えたと感じた。

多くの学生さんが、今回の講義を通して運動やピラティスの効果を実感し、「今後も継続して取り組みたい」「将来的にもっと深く学びたい」と前向きな気持ちを抱いてくれました。また、大学院で専門的に学ぶことの魅力を感じ、自分の興味や関心を追求したいという声も聞かれました。
助産師としての将来像についても、印象的な感想が寄せられました。
「継続してもらえるように、一緒に実践し、楽しく過ごせるよう支援できる人になりたい」
「将来、私が助産師になった際にも、ただ正しいことを伝えるのではなく、その人の生活に寄り添いながら、わかりやすく心に届く言葉で説明できる存在になりたい」
「体だけでなく心も軽くなるようなケアを提供できる助産師を目指したい」
講義を通して、学生さんたちが自分の目指す助産師像をより具体的に描き始めていることも伝わってきました。
講義を終えて
改めまして、このたび貴重な機会をいただきました愛媛県立医療技術大学 助産学専攻科の先生方に、心より御礼申し上げます。妊娠・出産・育児は、女性にとって身体的・心理的な変化が著しい、非常に繊細な時期です。産前産後の運動や身体に関する知識は、単なる運動指導にとどまらず、保健指導、出産準備クラスの運営、分娩介助、産後のケアなど、日々の助産実践に深く関わる重要な要素です。また、必要に応じて助産師が他職種や、運動指導を行う専門機関との橋渡し役を担うことも求められると感じています。今回の講義は助産師教育課程で講義を行う重要性を改めて感じる良い機会となりました。
今後とも maemo atomo は、「産前産後の健康を守り、もうひとり産みたいと思える社会」の実現に向けて、一歩ずつ着実に、尽力してまいります。
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